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「童話」
しあわせのふわふわパン

しあわせのふわふわパン

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 ミルちゃんのママは、まいあさおいしいパンを焼いてくれます。
 ところがけさは、ママがごはんのしたくをしてくれません。夕べ、パパと大げんかして、ずっとおこっているのです。
 なれない手つきでパパが作ってくれたのは、黒こげのベーコンと、きみのくずれた目玉やき。かんじんのパンがありません。
 ミルちゃんは近所のパン屋さんへいきましたが、あいにく朝食用の山がたパンは売り切れてしまって、あまいおかしのパンしかありません。
 ミルちゃんが、しょんぼりしてうちにかえるとちゅう、
「おじょうさん、パンがほしいの?」
と、だれかが声をかけてきました。
 ミルちゃんがふりむくと、まん丸い顔にりっぱなおひげのおじさんがいます。
「おじさんはだれ?」
「パン屋ですよ。今日初めてこの町に来ました。うちのパンはいかがですか?」
 おじさんの後ろには小さなトラックがありました。ほろのついた荷台には真っ白なレースのカーテンがかけてあって、いろんなパンがかごに入っています。
 おじさんは、大きくてまっしろな山がたパンを手にとって、ミルちゃんにいいました。
「このパンを食べると、しあわせな気分になりますよ。今日は特別サービスです。お代はいりません」
「ありがとう。おじさん」
 ふわふわのパンはとってもおいしくて、ほんとうにしあわせな気もちになりました。
 なのに、どうしたことでしょう。ミルちゃんといっしょに、おいしいおいしいと食べていたパパが、いきなり泣きだしてしまったのです。
「パ、パパ、どうしたの」
 ミルちゃんの心配をよそに、パパはいそいでママのいるへやにいきました。
「ママ、ごめんね。けっこんきねん日をわすれたぼくがわるかったよ」
 ママはふきげんなかおで、へやから出てきました。そして、なにか言おうとして口をあけたとき、パパはパンをちぎって、ママの口におしこんだのです。ミルちゃんは、ママがもっとおこるかと思いました。ところが。
「もぐもぐ、パパ。もぐもぐ、わたしこそわるかったわ。ごっくん。ごめんなさい」
 パパとママはもとどおりのなかよしになりました。
 次の日。ミルちゃんはお礼を言おうと思ってパン屋さんが来るのを待ちました。でも、いくら待ってもパン屋さんはきません。
「昨日のパン屋さんはもう来ないのかしら」
と、通りのほうを見ると、二つ先の路地の入口に、昨日のパン屋さんのトラックが止まっています。
「おじさん、昨日はありがとう。今日はどうしてうちの通りにこなかったの?」
 パン屋さんはにっこり笑って言いました。
「悲しんだり、おこったりしている人のために笑顔になるパンを届けているんだよ」
 ミルちゃんはみんなが笑顔になれるふわふわパンが、どんなところで作られているのか、知りたくなりました。そしてこっそり、帰っていくパン屋さんのトラックの荷台にもぐりこんだのです。
 やがて、パン屋さんは、町で一ばん高い山に登っていきました。
「いったいどこにパン工場があるのかしら」
 ミルちゃんが見回しても、山のてっぺんにはなんにもありません。ふしぎに思っていると、パン屋さんがひゅーっと口笛を吹きました。
 すると、まっ白い雲がほわんとやってきました。パン屋さんのトラックはその雲に、ひょいっととびのりました。
 それからトラックは真っ白なたてものの中に入っていきました。
 トラックが止まった時、ミルちゃんはよいこらしょっととびおりました。いきおいあまってころりんとひっくりかえってしまいましたが、地面がやわらかい雲なのでちっともいたくありません。
 ミルちゃんは見つからないようにおじさんのあとをつけていきました。すると、おじさんは大きな扉をあけて、そのなかにはいっていったのです。そこは工場でした。
「あっ」
 ミルちゃんはびっくりしました。工場ではたらく人のせなかにはねが生えていたからです。
 みんな楽しそうに歌を歌いながらパンを作っています。真っ白い雲をちぎってはこねて、形をととのえ、大きなオーブンに入れていくのです。できあがったふわふわパンは真っ白で、いい香りがしてきました。
「わあ、いいにおい」
 急におなかが空いてきたミルちゃんは、たまらなくなって、できたてのパンを一口つまみ食いしてしまいました。
「おいしい」
 初めて食べた時のように、心が軽くなってとっても幸せな気分です。もうちょっと、とミルちゃんはまた一口食べてしまいました。
 すると、どうしたことでしょう。からだがふわんとちゅうにういてしまったのです。
「きゃあ、たすけて」
 ミルちゃんはびっくり。でも、とつぜん現われたミルちゃんに、はねの生えた人たちもびっくりしています。おひげのおじさんが言いました。
「あ、君は。パンをつまみ食いしたね。焼ききたてを人間が食べてはいけないんだよ」
「ご、ごめんなさーい」
 ミルちゃんのからだはかってにふわふわ、あっちこっちにいって、とうとうまどからとびだしてしまいました。
「たいへんだ。このままでは宇宙までいってしまう」
 おじさんは背中のはねで飛んできて、ミルちゃんをつかまえようとしてくれましたが、するりとぬけてしまいます。
 そのうち、ミルちゃんはだんだんと下におりてきました。食べたのは二口だったので、すぐに不思議な力は消えたようです。
 ところがうんわるく、雲のはしっこからはみだしてしまい、空からまっさかさまに落ちてしまいました。
 ひゅー……どしーん!
「あいたたたた」
 ベッドからおちて、目がさめるとあさです。
「ゆめだったのかなあ」
と思いながらまどをあけると、ちょうどパン屋さんがやってきました。
「あ、おじさん」
 おじさんは、ミルちゃんにウインクしながら人さし指で、しいっとないしょのあいずをしました。
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~ Comment ~

微笑ましい物語 

微笑ましい物語をありがとうございました。

コメント書いてなくても毎回ちゃんと読んでますからねー

天使の焼いた魔法のパン。 

いずみさん、創作意欲に燃えてますね。

おじさんは、クリント・イーストウッドの様に
格好いい感じでウィンクしたんでしょうね。

おはようございます。 

>はやひでさん
読んでくださってありがとうございます。
いえいえ、時々でもコメントくださってうれしいです。
わたしの方は、読み逃げで申し訳ないです。
こっち(fc2)から行くと、アカウント入力するのがめんどくさくてつい……(^_^;)

>孤高のオオカミさん
またきてくださってありがとうございます。
今のところ、アップしているのは以前に書いたものですが、現在は長編に挑戦しているところです。
でも、新美南吉童話賞には今年も応募するつもりです。
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